がんぶろ

生存記録兼報告ブログ

長野・木曽駒ヶ岳(途中撤退)

お休み。明日も休みで連休っす。と言うのも当初は職場の同僚と計画していた「富士登山」のために予定しておいた連休なのでした。ところが以前にも書いたようにその同僚が直前に骨折して予定していた富士登山は急遽中止に。でも連休はそのままにして代わりに「人生初アルプス」に挑戦する事にしたのです。その記念すべき初アルプスとしてチョイスしたのは、中央アルプスの主峰、木曽駒ヶ岳。標高は2,956メートル!…とは言っても2,600メートル付近までロープウェイに乗って行くことが出来ると言う誠にへたれなもといお手軽なコースで登頂出来る山なのであります。アルプス初心者の私にはぴったりな山。ついでに実家を起点にアクセスが出来るって事で、初アルプスはこの木曽駒ヶ岳をチョイスした訳でありまして。で、数日前から切符の手配をして前日の晩から仕事帰りに実家入り。準備万端でいざ人生初アルプス、いざ木曽駒ヶ岳!…と意気込んでいたものの、どうも天候がよろしくない模様。イヤな予感を抱きつつ、前日の晩を実家にて過ごしたのでありました。で、翌朝起きてみれば案の定、今にも雨が降り出しそうな空模様。天気予報も思いっきり雨予報。うーむ…と思いつつも既に切符を購入しているので一応持って来たレインウェアをザックに詰め込んで実家を出発。7時30分名鉄バスセンター発の高速バスに乗り込んで木曽駒ヶ岳への玄関口、菅の台バスセンターへと向かったのでありました。



バスは10名にも満たない乗客数。2時間半のバス旅もゆったりと過ごせますなあ…と思いつつ、肝心のお天気ははかない望みとは裏腹に雨模様へとまっしぐら。途中の休憩地点のサービスエリアでもうこんな空模様に。雨もポツポツと降り出してきたのでありました。道中、車窓から見えるであろう中央アルプスや南アルプスも全く拝見する事が出来なかったのでありました。でまあそんなお天気の中、バスは予定通りに菅の台バスセンターに到着。そこから路線バスに乗り継いでロープウェイのしらび平駅まで40分少々。そしてしらび平駅から今度はロープウェイに乗り換えて一気に標高2,611メートル地点の千畳敷駅へと。平日でおまけにこんな天気だと言うのに結構な数の人が。流石アルプスですなあ…と思いつつ、満員状態のロープウェイに乗り込んで千畳敷駅に到着。外に出ると目の前には千畳敷カールとこれから目指す木曽駒ヶ岳の雄姿が…の予定なのですが、



目の前の様子はこんな状況。千畳敷駅を出た目の前にある「駒ヶ岳神社」ですが…もう一面「白い世界」っす。雨も結構な勢いで降っていたのでありました。おまけに風も結構強い。この状況に私を含めて駅前から外に出るのを戸惑う人々で結構な混雑振り。とは言ってもここまで来たら後に引く気にもならず、準備しておいたレインウェアをザックから取り出していそいそと装着を。上着は普段の山行でアウターとして使っているのでお馴染みなのですが、パンツは初装着。微妙に手こずりつつも装着完了して、いざ雨と風の中を出発したのであります。



出発して早々にこんな雪渓が。雪渓を見るのも渡るのもコレが初体験。微妙に感動したのでありました。



でその雪渓を渡るといよいよ本格的な登りが始まる登山道への分岐点が。私は当然「左」に進むのであります。



分岐点を過ぎるとすぐにこの「八丁坂」に取り付いてその先にある「乗越浄土」へと向かいます。



その「八丁坂」ってのはこんな感じ。石がゴロゴロの結構急峻な岩場の坂道なのです。おまけにこの天候。この時点では風がますます強くなって横殴りの雨に。途中、下山してくる幾人かの方々から、『上はもっと風がきつくて台風みたいだ』とか『真っ白で何も見えない』などといった情報を頂いてうーむ…と思いつつここで引き返すのも癪なので、「乗越浄土」までは意地でも登ってやろうと決めて横殴りの雨風の中をガシガシと。なかなか歯ごたえのある岩場の坂道に加えてこの天候で余計な力を使ってしまったのか、それとも初めての標高2,000メートル以上の「高山」だったからなのか、何だかいつもとは違った疲労感を感じてちょっぴりヘロヘロになりつつも上を目指したのでありました。



でもって八丁坂を登り詰めてようやく平坦な「乗越浄土」に到着。でも遮るものが何も無い吹きさらしの尾根ですので、風がさらに強烈に。雨も加わってTVでよく見かける「台風中継」の現場みたいな状態であります。先に出会った人から頂いた『上はもっと風がきつくて台風みたい』と言うありがたい情報を、ひしひしと噛み締めた次第でありまする。でも出発してからまだ1時間程度、時間もあるのでもう少し先へ…と思って次なる地点の「中岳」方面へと尾根道を進んだのでありました。



…が、その「中岳」方面への尾根道はこんな状況。視界の先は真っ白で何も見えません。おまけに台風中継の真っ只中みたいなコンディション。…まあ、進もうと思えば進む事は出来そうなのではありましたが、眺望もへったくれも無いこの白い世界を暴風雨に耐えながら進む行為に疑問を感じ、ついでに先般の北海道はトムラウシ山での遭難事故もふと頭をよぎった結果、ここで「途中撤退」する事に決定。無念ではありますが、来た道を戻る事に。



んで、先程の「八丁坂」を下山。この状況下、雨風に耐えながらのこの岩場、なかなかの恐怖感でありますよ。ゆっくりと慎重に進みます。



天候は最悪ですけどそんな中、綺麗な高山植物は唯一の救いでしたよ。これは「ハクサンイチゲ」という花らしい。後ろの黄色い「シナノキンバイ」って花も沢山咲いていて綺麗でした。



で、そんな高山植物を愛でつつ慎重に下山しているうちに何とまあ、天候は微妙に回復傾向。雨が止み始めて来やがりましたよ。くっそー。んで、下山完了した頃には、登る時には真っ白で何も見えなかった千畳敷カールの全容を拝む事が出来るまでに。時計を見てみれば13時付近。これから再度登り直す訳にもいかず、改めてくっそーな気分ではありますがまあ、この景色を拝めただけでも良しと言い聞かせながらも、口惜しい気分をぐっと堪えて少し早めの13時30分頃に下りのロープウェイへと乗り込んでその後はバスに乗り継ぎ、1時間後の14時30分頃、菅の台バスセンターへと舞い戻ったのでありました。帰りの高速バスまで2時間以上。って事で、駒ヶ根高原と言う観光スポットでもあるこの菅の台バスセンター付近をぶらぶらと。



まず思い立って立ち寄ったのがこの『こまくさの湯』と言う名前の温泉施設であります。いやあ、ここが予想外に良かったですよ。悪天候での山行で疲れた体に、少しぬるめなココの温泉が染み入りましたなあ。



んで、『こまくさの湯』に入ってすっきりした後は近くの駒ヶ池周辺を散策。観光スポットなのでリゾートホテルや旅館があちこちに建ち並んでいるのですが、そんな中に見かけたのがコレ。もう営業はしていないような雰囲気でしたけどその風体と名前に妙に惹かれて思わず記念撮影を。『中ア』ってのは『中央アルプス』の略だと思うのですが、何だかその書体や名前の響きが思わず「中核派のアジト」みたいなイメージで、この爽やかな高原で妙なコントラストなのでありました。


てな感じで2時間の暇つぶしをしているうちに何とまあ、空一面を覆っていた雨雲が動き出してその切れ目からは青空と太陽が。改めて自分の運の無さを恨めしく思いながら木曽駒ヶ岳方面の空を見上げたのでありました。で、定刻より少し遅れてやって来た高速バスに乗り込んで予定時刻通りに終点の名鉄バスセンターに到着。実家に戻って本日の雨に祟られて散々だった「人生初アルプス」も無事に終了です。んで、ザックから雨に濡れたレインウェアを取り出しつつ、今シーズン中でのリベンジを固く心に誓ったのでありました。